急に、星を見ようって言われた。
俺もオフだったし、丁度いいかと思っての家へと向かった。

呼び鈴を鳴らすと、中からが出てきた。
「あ、秀ちゃん。いらっしゃーい」
は屈託の無い笑顔を見せた。
「お、久しぶり」
「久しぶりー、あがんなよ」
「おー」
俺は久々に、の家へと足を踏み入れた。

俺とは、付き合って何年も経つ。
だけど、俺の仕事もあって中々会える機会が無い。
あったとしても、大概俺の家だとか、どっか外に出るばっかりで。
の家に招かれることは滅多に無いことだった。

「秀ちゃん、こっち、こっちおいで」
に手招きをされて、俺はの言うままに従った。
そして、俺とはテラスへと出た。
東京の夜景が、目の前いっぱいに広がっていた。
「ふふ、秀ちゃん。上、見て」
上を見上げると、満天の星が瞬いていた。
「うお・・・」
「綺麗でしょ、夏だし」
「うん・・・」
「・・・ねえ、秀ちゃん」
「ん?」
「星が瞬いてから、その光があたしたちのとこに届くまでどのくらいかかると思う?」
「うーん・・・俺、藤原ほどそんなこと詳しくねえし」
「何万年とか、もっとずっと後なんだって、知らなかったでしょ」
「うん・・・知らなかった」
「今、あたしたちが見てる光は何万年も前の光なんだよ」
「そうなんだ・・・」
今、見えてる光が。
今、と一緒に見ている星が・・・ほんとは俺らが生まれるずっと前に輝いたもんだなんて。
「消えないよ、絶対」
「え・・・?」
「何度あの星が瞬いても・・・俺とは、ずっと一緒だ」
「秀ちゃん・・・」
俺は、の手をぎゅっと握った。
「これからも・・・ずっと俺の隣に居ろよ」
「・・・ふふ、もちろん」
の背中をぎゅっと抱きしめた。
消えないように、この手の内から消えてしまわないように。

俺とは、顔を見合わせて笑った。







何度星が瞬こうと、




0810.

升氏27歳記念